寺報 りゅうぎん
平成14年(2002) 賀 春 号 (5 号) 

  仏国土はいずこに
住職 雲 井 泰 正 合掌
 明けましておめでとうございます。平成14年元旦を迎えました。
 昨年は西暦2001年、百年単位である新たな夢ふくらむ世紀の門出でした。ところが、 アメリカの同時多発テロ勃発により、五千人余の罪のない尊い人命が犠牲となりました。 このテロにより日本のみならず世界の経済が低迷し、多方面にわたって悪影響を及ぼしています。
 アフガニスタンでは、オサマ・ビンラディン首謀者を擁護し、また聖戦という名目でテロを容認し、 偶像崇拝はならずと世界的な仏教遺跡、バーミヤンの巨大仏像を爆破した超過激なタリバン政府の排除をめざして、 アメリカは反対勢力の北部同盟を支援して、空爆を主とした戦争を展開しました。
 国際テロ撲滅は、世界平和を願う万人の祈願です。日本も難民の人道支援のために物資を自衛隊機で空輸し、 アメリカの後方支援ということで艦船をインド洋沖に派遣しています。 イスラム教という宗教を交えたこの戦いは、タリバン政府の崩壊という形で収拾されました。 が、アフガニスタンは多民族の集合した国家ゆえ、はたして安定した新政権が樹立されるのか、 和平と復興をめざし、国連主導のもと暫定行政機構が発足しましたが、行く末が案ぜられます。
 かたや、アラブでは和平合意が何回も破られて、パレスチナ(イスラム教)対イスラエル(ユダヤ教)の 果てしないテロの応酬で多くの民間人が犠牲になっています。
 昨今、仏教が直接的にからんだ国家間の争いはありません。お釈迦さまの慈悲を尊ぶ教えが生かされているからでしょう。仏国土は遠からずです。みなさまが菩提寺を篤く護持し、ご本尊を拝み、ご先祖に感謝してお香を焚き、両手をあわせて仏法に帰依するあなたの心のなかに仏国土はあります。
 昨年、国内では狂牛病、地元浜松では老舗松菱デパートの倒産と暗いニュースが多いなか、昨年12月1日皇孫、敬宮愛子内親王ご誕生は明るい話題でした。
 みなさまの新年の輝かしい門出に幸あれと祈ります。


 歴 史 探 訪 D 【車地蔵菩薩】 くるまじぞうさま   
石造り車地蔵さまです
 地蔵堂は、山門を入るとすぐ左手にあります。呼び名は、「くるまじぞうさま」、石造りで優しいお顔のもち主です。 台座の刻印によれば、寛政9年(1797)に奉安されたとあります。
お堂は、奉安の当初よりあった記録が残されています。 その後、明治40年(1907)に篤信者による一宇寄進で建て替えられました。それ以来90年余の星霜をへて、 木構造の痛みひどく平成10年(1998)に新しく再建しまた。
 このお堂に向かって、正面右手の車地蔵大菩薩銘石に回るけやき製の車輪がはめ込んであります。 参拝者は、この車輪を右手で手前になんべんも回転させて、拝みます。
  「くるま」は、人生の時計であり、歩みです。すなわち生きることの時間を意味し、 回りめぐるという輪廻思想の考えから名づけられたと察せられます。 このお地蔵さまは、誰にもみられない早朝、若夫婦つれそってお参りし、 赤い前掛けと帽子を新調して「子授けの願」をすると、御利益があると昔から評判です。
 「おん かかか びさんまえい そわか」 のじゅもんを唱えましょう。

 卒 寿 を こ え て   
 井 村 よ し   
卒寿をこえた井村よし女史
 私は明治43年生まれ、卆寿をこえて満91才です。お寺との想いでをつづってみます。
 教職の主人が静岡市の学校へ転任、7年ほど教鞭を振るったのち浜松に帰任し以来、お宮やお寺、中田島のみなさまに今日までお世話になってきました。この間、婦人会、仏教会、老人会にあって多くのみなさまのお助けをえて、自分のできる範囲でいろんな役を努めさせていただきました。
 仏教婦人会では故大石英先生と共に多くの研修会に参加して、お偉らいお坊さまの法話をいただき、仏さまへの信仰心が増したと思います。この会は浜松市仏教婦人会の宗派をこえた集まりでした。中田島仏教婦人会という支部ですから、海龍寺檀徒のご婦人ばかりではありませんでした。
 英先生、他界後、大石すみさん、神谷ふねさん、神谷さち子さんの役員でお寺を訪ねて、住職と相談し、中田島仏教婦人会を改め、新たに妙心寺派花園会海龍寺婦人部として発足しました。2月の涅槃会、4月の降誕会(花まつり)を恒例の法要として行うことになりました。法話を聞き、またお経を唱える練習をした後、みなさまと懇親の会をもつようになりました。馬込川の地蔵堰(じぞうせき)には預天賀(よてんが)地蔵さまがあります。法要のおりには、お花やお団子をお供えしました。昔は東新田の堤防に首なし地蔵さまとして町民に親しまれていました。これでは可哀想とお寺の総代であった故神谷太郎さまが私財を投じて、昭和52年に現在地に再建しました。住職の話ではこのお地蔵さまは、海龍寺ご本尊延命地蔵さまの別称だそうです。
 平成11年、95才の主人を冥土に送り、現在、私は1週間の内4日間デイケアヘ通っています。お仲間と助け合い、支え合い信じ合うことのすばらしさを学んでいます。
 この尊い命に感謝しつつ明日ある自分を信じて、ご先祖さまに花を供え、香を焚き、仏法僧の三宝に帰依しています。 合 掌